DSC_0065a
2013.03.05 15:31 | Nikon D7000 | Sigma 17-50mm F2.8
17mm (25.5mm eqv.) | 1/160s | F8 | ISO100 | +1.0EV


  一般的に、風景写真は絞り値F8~F11で撮影すると良いと言われます。この理由には、ピントが合う範囲がある程度確保できることと、レンズの画質が最高になるからということがあります。

  しかし、それはレンズによって傾向が異なります。今回は、Sigmaの17-50mm F2.8というレンズを用いて、どのくらいのF値が最もシャープに写るか検証してみました。


【序論】

  一般に、カメラのレンズは絞り開放から2段~3段絞った場合が最も画質が良くなると言われます。
  しかし、一口に「画質」と言っても、多くの要素があります。
  一般的に「レンズの画質」と呼ばれるものは、

・画像の解像度
・色の分離の少なさ
  1.周辺部での色分離の少なさ(悪いレンズでは緑・紫の色が出る)
  2.パープルフリンジの少なさ
・歪曲の少なさ
・周辺光量


によって評価されます。

  画質を低下させる要因として、「収差」と呼ばれるものがあります。これは、レンズやガラスの性質により光が一点に集まらなかったり、色が分離したりしてしまうことを指します。
  「収差」と呼ばれるものには主に以下のものがあります。

・球面収差画像がソフトになるような収差。球面レンズでは光が一点に集まらず(学校の理科と違うよね)、それが原因で起こる。
・非点収差縦方向と横方向でのピントが一致しない事によって起こる収差。
・コマ収差コマ(彗星)のように、周辺部で点像が尾を引いたようになる収差。
・色収差色の分離が起こるような収差。
  1.軸上色収差光の波長により屈折率が変化する性質により、色が分離する。
  2.倍率色収差光の波長により像の倍率が変化し、結果として色の分離が起こる。
・歪曲収差画像全体が歪むような収差。その形によって「樽型」「糸巻き型」「陣笠型」(樽型と糸巻き型の複合)に分けられる。
・口径食レンズ周辺部において、光がレンズの鏡筒やフードによって遮られ、ボケがラグビーボールのような形になる現象。また、周辺光量の減少(周辺減光ともいう)も含む。

  また、このリストには入っていませんが、「像面湾曲」と呼ばれる、ピント面の歪曲も画質に悪影響をもたらします。像面湾曲が大きいと、中心部にピントを合わせた時に、周辺部でピントが合わなくなってボケてしまいます。

  それぞれの収差は、以下に示すように画質に悪影響をもたらします。

・球面収差…全体の解像度
・非点収差…周辺部の解像度
・コマ収差…周辺部の解像度
・色収差…色の分離の多さ
・歪曲収差…歪曲の多さ
・口径食…周辺光量、ボケの形状


  「画質が良いレンズ」と呼ばれるものでは、これらの収差を最小限に抑えているため、全体的にシャープな写真を撮ることができます。
  特に高性能なレンズでは、EDレンズと呼ばれる、波長により光の屈折率が通常のレンズよりも変化しにくいガラスを用いたレンズを使用することで、各収差(特に色収差)を低減し、高画質化を図っています。特に、「蛍石」を用いたレンズは色分散性が小さく、開放F値が小さく明るいレンズなどに利用されています。一般的なレンズよりも製造コストが高いのが難点です。

【検証】

  今回の記事のために、管理人は写真を撮って来ました。
  解像度の変化を見やすくするため、細かい枝の多い冬枯れした木を被写体として、F値が変化した時に画質がどうなるかを検証してみました。

  まず、各F値毎の写真を以下に掲載します。
  RAWで撮影し、後にJPEG化しました。

F2.8
DSC_0062a

F4
DSC_0063a

F5.6
DSC_0064a

F8
DSC_0065a

F11
DSC_0066a

F16
DSC_0067a

F22

DSC_0068a


  これでは分かりにくいので、一部を切り出して比較します。
  まずは中心部です。

【中心部】

F2.8
DSC_0062-2

F4
DSC_0063-2

F5.6
DSC_0064-2

F8
DSC_0065-2

F11
DSC_0066-2

F16
DSC_0067-2

F22

DSC_0068-2


  中心部については、F5.6が最もシャープな結果となりました。次点がF4とF8となりました。
  流石に絞り開放ではかなりソフトな写りとなり、縮小した画像でもF4との違いは歴然でした。
  一方、F11以上ではシャープさが大きく失われる結果となりました。これは「小絞りボケ現象」と呼ばれるもので、絞り過ぎると光の「回折」現象によって写りが甘くなってしまいます。
  また、この作例ではそれほど目立ちませんでしたが、F22では所々にセンサーやレンズに付着したゴミが写り込んでいることがわかります。必要性がない限り、F22以上に絞ることはしないほうがいいでしょう。写りが甘くなる、ゴミが写る、シャッター速度が遅くなるなど悪いことばかりです。

  次に、周辺部についても同様に比較してみます。

【周辺部】

F2.8
DSC_0062-3

F4
DSC_0063-3

F5.6
DSC_0064-3

F8
DSC_0065-3

F11
DSC_0066-3

F16
DSC_0067-3

F22

DSC_0068-3

  周辺部に関しては、F5.6とF8が互角となりました。やはり、絞り開放(F2.8)やF16以上ではかなり甘い写りとなってしまいました。


【まとめ】

  今回テストしたD7000は、入門~中級の一眼レフ・ミラーレス機に用いられているAPS-Cフォーマットですが、これよりも小さなセンサーサイズ(フォーサーズ系、Nikon1シリーズ、PENTAX Qシリーズ、コンパクトデジタルカメラ)では、センサーの1画素が細かくなるため、より小さなF値で回折の悪影響が出てしまいます。

  一方、これよりも大きいフルサイズセンサーを用いた機種では、回折の影響が現れにくく、F16までは回折の影響をあまり気にせずに撮影することができます。ただし、D800のような高画素機ではセンサーの1画素が小さいため、APS-Cとほぼ同じ傾向となります。

  また、レンズの性質も大きく影響します。かなり明るい単焦点レンズや、今回用いたような明るいズームレンズでは、一般的に解像度のピークがF5.6前後となりますが、高倍率レンズやキットレンズのように開放F値が大きく暗いレンズでは、解像度のピークがF11前後となります。また、中心部のほうが周辺部よりもより小さいF値で解像度のピークとなります。

  以上で、F値と画質の検証を終わります。思い通りの結果が出てよかったと思います(笑)。