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・2013年8月10日撮影

  近年、デジタルカメラの高画素化(高解像度化)が進み、昔は大変高価な機材を使わないと撮影できなかった写真も、10万円程度のデジタルカメラで撮影できるようになりました。人間の目と比較すると、人間の目が視力
1.0以上を実現できるのは中央のわずか数度に過ぎず、周辺部は0.1にも満たないと言われています。

  人間の目と比較しても高性能な部分が多いデジタルカメラですが、欠点もあります。その一つが、ダイナミックレンジの狭さという問題です。

  まず、ダイナミックレンジとは何かについてですが、信号強度の範囲のことを示しています。例えば音響分野ではdB(デシベル)という単位が使われ、20dB=10倍、6dB=約2倍となっています。例えば、スピーカーなどのスペック表に「再生周波数10~40,000Hz、ダイナミックレンジ120dB」などと書いていますが、20dB=10倍なので、10の6乗=1,000,000倍という意味になります。

  一方、カメラではEVという単位がよく使われます。これも同じく光の強さの範囲のことを表しており、DxOMarkなどの写真機材性能評価サイトでは、例えばソニーのα99で「14.0EV」と書かれています。1EVは2倍を表しているため、14EVは2の14乗=16,384倍ということになります。

  では、人間の目とカメラで撮影されたものを出力したものではどのような差があるでしょうか。

A
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B
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  Aは人間の目で見たイメージ、Bはカメラで撮影したものを編集せずにそのままJPEG出力したものです。測光の基準は中央の太陽付近に合わせています。

  これを見ると、カメラの方がダイナミックレンジが狭いと感じられます。実際、この撮影で用いたニコンのD7000はソニーα99とほぼ同じ13.9EVのダイナミックレンジがあり、中央から外れた暗い部分も写るはずです。それなのに真っ黒になってしまうのは、「JPEG変換」をしたからなのです。

  JPEGフォーマットでは、RGB各256階調、合計16,777,216色を表現することができます。しかし、今回のように被写体の明るさが場所によって1,000倍を超えるような場合には、JPEG変換した時に暗すぎる部分は全部
RGB=(0,0,0)、すなわち真っ黒と認識されてしまいます。これを「黒つぶれ」と言います。

  Aの画像は、D7000に付属したソフトで「D-アクティブライティング」という擬似HDRを実現する機能で作成しましたが、RGB各14bit(16,384階調)の形式で撮影したため、暗い部分も復活させることができました。

  一方、一旦JPEGに変換したBの画像は、無理に明るくしてもかえって不自然さが目立ってしまい、暗い部分の復活には失敗します。

C
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  Cは、露出補正を+2.0、すなわち明るさで言うと4倍になるような変換をしましたが、暗い部分が若干見えやすくなる一方で、明るい部分が真っ白に潰れてしまいます。これを「白飛び」と言いますが、暗い部分の階調を重視すると、この白飛びが発生することが多くなります。

  デジタルカメラは一般に、黒つぶれを修正することは容易だが白飛びの修正は難しいと言われます。つまり、いくらカメラのダイナミックレンジが広く、人間の目に近いとしても明るく移しすぎればその部分の復活は不可能に近いということです。

  勿論、黒つぶれの補正にも限界があります。暗い部分を補正することは白飛び修正よりは可能性がありますが、実質的にISO感度を上げたことと等しい効果が得られるため、特にISO800を超えるような状況ではノイズが目立つことがあります。白飛びに弱いニコン機・ソニー機は暗所のノイズが少ないと言われますが、逆に白飛びに強いキヤノン機は暗所のノイズが多いと言われます。自分が持っているカメラの特性を把握することも重要です。

  適正露出を意識することは重要ですが、失敗(意図しない黒つぶれ・白飛び)のリスクを考えた際には、サイズが大きくなってもJPEGではなくRAWで撮影し、明るくし過ぎないということが重要だと思います。