IMG_5459

最近、写真よりも自作PCにハマってしまっています。
最近発売されたRyzenもいいですが、あえて古いパーツという選択肢もあります。
以前、Sandy Bridgeおじさんの記事を書いた所大ヒットしましたが、スマホ向けのデザインを確認しないで書いたら非常に見づらい記事になってしまったため、以後反省して見やすい記事を心がけるようにしています。

さて、今回の話題はSandy Bridgeではなく、Sandy Bridge-Eです。


■Sandy Bridge-Eとは?
2011年にリリースされたインテルのCPUのシリーズです。
Sandy Bridgeと同じ設計思想ですが、メモリのチャンネル数(デュアルチャネル→クアッドチャネル)やPCIEスロット数が増強され、最上位モデルは6コア12スレッドになっています。
(※i7-2600Kなどの通常版は4コア8スレッド)
Sandy Bridge-Eのラインナップは以下のとおりです。
・Core i7-3820
・Core i7-3930K
・Core i7-3960X
・Core i7-3970X


最下位モデルの3820のみ4コア8スレッドで、他はすべて6コア12スレッドです。
また、3820以外の3モデルは倍率ロックフリー(OCしやすい)となっています。


■おすすめは?
ズバリ3930Kです。
このCPUは中古でかなり安値(6000円~10000円程度)となっています。
一方、上位モデルに手を出すといきなり2万円台に跳ね上がり、普通にRyzenの旧型モデルを買ったほうがどう考えても良いので、3960X、3970Xは最上位にこだわらない限りおすすめしません。
また、3820は最も安価ですが、4コアしか無く、6コア以上が当たり前の今となっては性能不足を感じる上に、倍率の上限(44倍?)が設定されているので、あまりおいしくありません。

また、393は「ミクさん」とも読めるので、ミクさんが好きな人にもおすすめです。


■Sandy Bridge-Eの良いところ
・PCI-E3.0が40レーンも使える
・USB3.0も使える

これは何気に嬉しい仕様です。
2019年にPCI-E4.0が発表されるまで、ずっとPCI-E3.0のターンでしたが、逆に言えば現代でも通じる足回りを持っているということです。
また、USB3.0も対応機種が増えた頃で、USB3.0のポートが多いのも特徴です。
この辺はマザーボードにもよりますが、今とあまり変わらないと言えるでしょう。
残念ながらUSB3.1やThunderboltよりは遅いですが、そこまで気にならないでしょう。

・Windows10でも安定動作する(ただしサポートは…)
これは実際に使っての感想ですが、Windows10の比較的新しいバージョンでも正常動作します。
あまりにも古い世代だと7止まりだったりVista止まりだったりして残念な結果になることも多いですが、少なくともSandy Bridge世代は今のところそういう事はありません。
ただし、インテル公式のサポートについては、最新世代は終了しているので、そのへんは自己責任ということになります…

・Xeon(12コア)も搭載できる

Sandy Bridge-Eの良いところといえば拡張性ですが、CPUのアップグレードという面でも優れています。
最大で12コアのXeon E5-2697v2も対応するので、エンコードなどの高速化&ロマンを求める人にも向いています。

・メモリが最大32~128GB搭載できる
マザーボードにもよりますが、大容量のメモリを搭載できるというのも長所です。
Sandy Bridgeはかろうじてまだ使えますが、もっと前の世代になると1枚2GBのメモリしか対応しないなどの不便な仕様になります。
Sandy Bridge-Eはメモリスロットが少ないものでも4本、多いもので8本あるので、ローエンドなマザーボードでも32GB搭載できることから、メモリの面の拡張性も優れています。


■Sandy Bridge-Eのイマイチなところ
・消費電力
Sandy Bridge-Eの「E」はエコのEではありません。ExtremeEnthusiastなどの意味で、下手をすると「エラい電気食う」という意味にもなりえます。
Sandy Bridge-EのCPUは基本的にTDPが130Wとなっていて、実際の消費電力も定格で120W台とかなり多いです。まぁ、最近の9900Kとかに比べれば少ないけど…
正直、OCしない限りは負荷時の消費電力はそこまでといった感じですが、問題はアイドル時の消費電力です。この世代はまだ省電力化が進んでおらず、特にハイエンドマザーボードの消費電力が大きい(チップセットにファンが付いていたりする)ので、注意が必要です。
はっきり言って、エコなPCを組むには向きません。

・今で言えばエントリー~ミドルレンジクラス
さて、性能面についてですが、2011年前後の割にはかなり健闘していると思います。
特にゲームの性能は今のミドルレンジ(i5-8400、i5-9400、Ryzen 5 2600)あたりといい勝負をしていて普通に実用性があります。
しかし、所詮はミドルレンジなのです…
しかもRyzen 3000シリーズで高性能化のトレンドが更に急激になったことで、下手をすると2、3年後にはCore i3クラスにも追い抜かされてしまう可能性があります。
現時点ではなかなかの性能ですが、将来性はあまりないですね…

・SATA3.0の対応が中途半端
・M.2 NVMeに対応していない
・メモリの速度が遅め(1066~1866MHz)

これも古いため仕方ないことですが、比較的最新の規格には対応できていません。
しかも、メモリがDDR3なのでクロックに制約があります。
中にはDDR3-3000のようなDDR4に遜色のないメモリもありますが、それを動かすにはマザーボードも選びますし、発熱も大きくなるので冷やさないと不安定になります。
これらのことを割り切って使えるなら、Sandy Bridge-Eはアリだと思います。


■マザーボードの選び方
CPU、メモリ、電源、グラフィックボード、SSDだけでは動きません。
当然マザーボードが必要となってきます。
これが実は最大の問題です。
Sandy Bridge-Eに対応するチップセットはX79ですが、このX79が厄介です。
古い世代なのでほぼ中古を買うことになりますが、その中古マザーボードの傾向は大きく分けて2種類あります。
・ASUS、ASRock、MSIなどの大手メーカー
 安定動作、フル機能が保証されるが、中古のくせに高価
・中華マザー
 とりあえず動くが中身がQ65だったりB75だったりする、メモリがデュアルチャネルだったり…

このように、
「フルスペックを求めるためにコスパを犠牲にする」
「コスト面重視(※コスパではない)で中華製に挑戦する」

の2択を迫られます。

大手メーカー製で安いもの、というのはメインストリーム向けのマザーボードならよくありますが、このX79に関しては品薄で、価格も高いものが多くなっています。
ASRock、GIGABYTE、MSIなどの一流メーカー製だと、ローエンドなものでも2万円前後とあまりお得ではありません。
ASUSは更に高く、ハイエンドなものだと中古なのに5万円とか普通にあります。
(ちなみに、当時円高なのもあって、下手をすると当時より高くなっている可能性もある)

普通に組むなら2~3万円かかっても大手メーカー製を選ぶのがいいと思います。
そもそも3930Kが激安ですからね…

それじゃ嫌なんだ!
もっとコストを下げたい!

という場合は中華製一択だと思います。
でも、中華の世界は魑魅魍魎です。

・Sandy-EなのにチップセットがQ65
・メモリがデュアルチャネル
・CPUクーラーのリテンションがAMD仕様
・VRMもしくはオーディオ、LANなどがしょぼい
・怪しい中華製コンデンサ(日本製?そんなの知らない)


※詳しくはこちらの記事参照

はい。これが中華製では常識です。
中華製では常識にとらわれてはいけないです。

やはり、安いものには安いものなりの理由があるのです。


■結論?
2017年にAMDがRyzenを発表してから、CPUのコスパは大幅に改善しています。
下手にインテルの中古で組むくらいなら、最新世代で組んだほうが良いような…