
EV値調査に使用したツール:exiftool
前回、EV値や「段」の概念について説明しましたが、文章だけではどんな状況なのかわかり難い人も多かったと思います。今回は、過去に撮影した写真を使って説明したいと思います。
べっ、別に読者のために解説してるわけじゃないんだからね…!

75mm 1/5000s F18 ISO100
雲に隠れた太陽を中望遠で撮影。中央重点測光方式のため、周辺部が暗くなる。
16.9EV

400mm 1/1000 F11 ISO100 撮影時露出補正+1EV
2013年初日の出の時の写真。太陽以外がかなり暗くなったのでプラスに露出補正している。
14.6EV

18mm 1/400s F8 ISO100
去年10月27日の紅葉の時の写真。風景写真なのでF8固定。
13.0EV

18mm 1/500s F8 ISO400 撮影時露出補正-0.3EV
同じく紅葉の写真。この日は晴天だったが、案外EV値が低かった。
11.3EV

400mm 1/320s F8 ISO800
2012年千歳基地航空祭の時の写真。曇天のためISOを上げている。また、絞りがF8なのは画質向上のため(開放F5.6)。
7.3EV

17mm 1/160s F4 ISO1600
去年の札幌イルミネーションの写真。このようなイルミネーションは照度が高いので、もっとISO下げて良かったかもしれない。
6.3EV

50mm 1/80s F4 ISO1600
同じく、イルミネーションの時の写真。車やビルの光があるので無理してF値を下げたりISOを上げたりする必要はなかった。
5.3EV

70mm 1/80s F2.8 ISO1600
JRタワー展望台で撮影した時の写真でゲソ。中望遠で周りが暗く三脚不使用だったのでこれが最もバランスの良い設定だったゲソ。
4.3EV

50mm 1/20s F4 ISO1600
イルミネーションの時の写真。さっぽろテレビ塔だが、手振れ補正を使用すると50mmでも半分くらいの確率でブレずに撮れる。
2.4EV

70mm 6.0s F5.6 ISO100 撮影時露出補正+1EV
2013年初日の出の前に撮影した写真。雪が降っていたため遠景が霞んでいる。
0.6EV

200mm 10s F5.6 ISO400
火星・アンタレス接近時に撮影した写真。結局火星とアンタレスが並んだ状態は撮影できなかったが、月とのコラボレーションは写せた。小型赤道儀ポラリエを使用。
-1.9EV

18mm 30s F5.6 ISO400
ついにマイナス突入。
オリオン流星群撮影(失敗)時の写真。雲とその間に見える星を撮影した。
-4.3EV

18mm 306.6s F8 ISO400 現像時に露出補正-1EV
去年11月8日に撮影した冬の星座の写真。像がシャープに写るように約2段絞り込んだ。赤道儀ポラリエ使用。
まとめ:風景写真などのおすすめ設定
【日中写真】
EV値:10~18EV
ISO:100~400
F値:4~22
概要:
風景写真の中では難易度の低い部類。しかし、意図する状況によってF値や露出補正は変動するため、シャッター速度が遅くなる場合には手振れに注意すること。
【夜景写真】
EV値:0~10EV
ISO:400~3200(手持ち)、100~400(三脚)
F値:F1.2~5.6(手持ち)、F4~11(三脚)
概要:
手持ちの場合、日中に比べ光量が100分の1程度になるためISO感度を上げる、F値を下げるなどの対応が必要になる。F値を下げる場合、ボケが大きくなるので口径食(点光源が周辺でラグビーボール状にボケる現象)に注意すること。
三脚使用の場合、長時間露光によってより低いISO感度や高いF値で撮影することが可能になる。
【天体写真 (月は除く)】
EV値:0~-10EV
ISO:400~12800
F値:F1.4~8(カメラレンズ)、F4~12(天体望遠鏡)
概要:
日中の1万~100万分の1の明るさのため、三脚などで固定することが前提になる。赤道儀などの追尾装置不使用の場合には広角でも30秒以上で日周運動(地球時点による星の位置移動)により点として写らないので、ISO感度を上げる、F値を下げるなどで対処する。
また、都会など夜空が明るい場所では「光害」(ひかりがい、こうがい)の影響で星が写らずに真っ白になる場合がある。その時はISOを下げる・光害カットフィルターを使用するなどの方法が有効となる。